【連載企画 第2回】企業活動をつぶさに映すメールデータ、どこに保管すべきか?

日常、仕事の中でやりとりしている電子メール(以下、メール)は、企業活動の様子が克明に写されていると言っても過言ではありません。そこには、取引先やパートナー企業、社内チームのメンバー間で交わされた連絡だけでなく、見積書や各種レポート、設計データなど重要な文書も添付されている場合があります。電話を通じた連絡と違って、メールはこうした重要なデータがメールボックスに蓄積されるため、必要に応じて振り返ったり、データを閲覧できる便利さがあります。

ただし、こうしたメール固有の価値は、データが確実に保管されていればこそ生まれます。仕事でメールを使う企業の多くは、送受信したメールデータは確実に保管されていて当たり前だと考えがちです。特に、当たり前のようにメールを利用できている現代こそ、その傾向があるのではないでしょうか。

ところが実際には、メールデータが未来永劫にわたって保管される保障はないのです。

例えば、メールサーバーが何らかの災害で破損してしまったらどうでしょうか。当然、そのメールデータも失われてしまいます。また、メールサーバーの容量にも限りがあります。容量を超えると新しいメールのためにを過去のデータを削除するような運用が一般的です。また中には、メールサーバーの容量の関係でPCなどクライアントにメールデータを保管させて運用している場合もあります。そのような運用の場合、不測の事態の発生や、必要に迫られた時、確実に過去のメールデータを保管しておくためには、相応の備えが必要になります。

オンプレミスからクラウドの流れへ

メールを運用するサーバーの観点からメールシステムを分類すると、ユーザー企業内のサーバーに保管する「オンプレミス」と、サービス事業者が提供するサーバー上に保管する「クラウド」の2つに大別できます。

このうち、オンプレミスでの運用ならば、自社保有するサーバーにデータを保管することになりますから、その管理ポリシーを自由に決めることができます。その半面、災害や事故の発生に対する備えは、すべて自己責任です。万全の対策を施すには、相応の準備と手間が要求されます。さらに、サーバーを置く場所も災害を考慮しての選定や、データの保管先を分散させたり工夫する必要があります。こうした対策には、金額に現れないコストを含め負担がかかります。セキュリティーの観点からデータを社外に保管したくないと考える企業は多くありますが、こうした自前での万全の対策がなかなか難しいのも現状です。

一方、クラウドでの運用は、メールを運用するための対策を全てサービス事業者に任せることができます。マイクロソフトの「Office 365」やGoogle社の「G Suite」のような運用コストも定額で、利用しやすいサービスが登場しています。こうしたクラウドサービスは、データセンターの設置場所はもとより、冗長性を持たせたり、分散保管したりと万全の対策をしています。一般的な企業が費やせる金額を加味すると運用しやすいサービスです。そのためメールシステムを活用するユーザー企業にとって、有望な選択肢になっています。

クラウドでもオンプレミスでもデータの保管は重要

メールシステムにクラウドサービスを利用することで、不測の事態に何もかも対応できるわけではありません。

クラウドサービスでもメールシステムを活用する際に、不注意でデータを消してしまう場合(ゴミ箱などに削除してしまうケース)もあります。当然、クラウドのメールサーバー上に保管されているものと安心し切っていたのに、実は保管されていなかったという状態が生じます。通常、クラウド上のメールシステムでは、ユーザーが自発的に消さない限り、容量が許す限り確実にデータは保持してくれます。しかし、本来保管しておくべきメールを不注意でゴミ箱に入れて、削除してしまうような事故も発生します。こうなると、データはクラウドサービスでは何日か経つと跡形もなく消えてしまいます。また、退職した従業員のアカウントを抹消する場合でもその当該のメールデータは削除がされます。

マルチロケーション、マルチポリシーで安心を得る

では、大切なメールデータを確実に保管して、いざという時に迅速に活用できるようにするにはどのような備えが必要になるのでしょうか。まず大切なことは、重要なデータを1カ所で保管しないことです。オンプレミスの運用の場合、保管先のサーバーが破損してしまえば、データを取り戻すことはできなくなってしまいます。複数の場所に分散保管しておくことが求められます。

一方でクラウドサービスを活用すれば、かなり安心な保管体制を得ることができます。ただし、前述のように保管容量や各従業員ごとのメール削除でデータが削除される場合があります。また、将来的にサービスの内容や仕様が変わる可能性があることは念頭に置いておく必要があるでしょう。

両社の課題を解決する方法として、メールデータを保管する専用のアーカイブサービスを、通常利用するメールシステムとはとは別に利用し、異なる保管場所として用意しておくことが推奨されます。クラウドサービスのベンダーの中にはアーカイブサービスをオプションで用意しているところもあります。しかし、万全を期すなら、自社の重要なデータを託す先を、1社だけに集中させない選択肢も検討が求められます。

従来、こうしたメールデータを保管しておくためのメールアーカイブは、専用のソフトウェアを使ってオンプレミスサーバーに構築する必要がありました。近年では、メールアーカイブ専用にクラウドのアーカイブサービスも提供されています。オンプレミスのメールシステムでのデータ保管やクラウドへ移行を考えている企業それぞれアーカイブサービスの併用を検討してみてはいかがでしょうか。

- 第3回「一言で事業継続と言っても、その目的は多様だ」へ続く-

【連載企画バックナンバー】
第1回 無くしたデータは戻らない、ITシステム視点で考える事業継続とは?

【関連コラム記事】
手間もコストもかけずに効率UP ! これからのメールデータの保管&管理はクラウドが主流に

2019.01.09
Ebookダウンロード

Ebookダウンロード
企業資産としてのメール管理とは ~法規制対応、内部統制に「メールアーカイブ」を活用〜

本資料では、最新のメールアーカイブの潮流など、企業のメールセキュリティ対策に役立つさまざまな情報を解説します。ぜひご一読ください。
・サイバーセキュリティ、メールセキュリティの現状
・関税法やGDPR対策など、高まる企業統制の重要性
・膨大なメールの暗号化を可能にする技術 など

Ebookをダウンロードする

「ゼンロック」メールマガジン購読のご案内

「ゼンロック」メールマガジン購読のご案内

企業セキュリティに関するニュースやインシデント情報、製品情報などをお届けします。

メルマガ登録する