【連載企画 第4回】 非常時と常時、両方で役立つメールアーカイブとは?

メールアーカイブは、災害や事故が起きて、手元のコンピューターやメールサーバーに保管したメールデータが失われてしまった時にリカバーしてくれる頼れる存在です。非常時の事業継続に向けた備えとしてぜひ活用することをお勧めします。ただし、せっかくメールデータを確実に保管しているのですから、非常事態が発生した時だけに活用するのではもったいないように思えます。日常の企業活動の中にも、メールアーカイブを活用できるシーンは数多くあります。その具体例をいくつか紹介しましょう。

コンプライアンスが徹底されていることを証明

企業経営でのコンプライアンスの徹底が、あらゆる企業に求められるようになりました。2002年に米国で施行されたSOX法、さらには2006年から施行された日本版SOX法などコンプライアンス強化を促す法整備が進み、内部統制の強化とルールや法律に則って適正に業務が遂行されていることを証明する必要が生じています。

コンプライアンスが徹底されていることを証明する際、日常的な業務記録である文書を適切に管理・保管していることがとても重要になります。メールデータもその1つです。申請、稟議、承認など社内の意思決定手続きをメールで行う企業も増えてきました。メールを確実に保管し、後日の監査のための証跡とするためにメールアーカイブを活用する企業が増えています。

内部統制の視点からは、メールデータをメール送受信した社員および役員個々が削除した場合でも保管をしておくことが望ましいです。また、既に退職した元社員が不正を働いていたといったケースもあり得ます。退職時にメールのアカウントを抹消してしまうと、在職時のデータがメールサーバーから消えてしまいます。不正の有無をより確実に証明するためには、メールシステムとは別の場所に、全員の過去のメールのやり取りを保管しておく必要があるのです。

個人情報保護の取り組みの監査対象

メールアーカイブは、個人情報保護の観点から違反行為が行われていないことを証明するためにも重要性を増しています。EU域内の消費者の個人情報保護を守る法令「EU一般データ保護規則(GDPR)」が20185月から施行されました。日頃の個人情報を保護する取り組みを監査する際に、メールデータは重要な監査対象になり得ます。また、対外的な人権保護を目的にするだけでなく、企業内でのハラスメントが行われていないか監査するためにもメールデータをひとつの確認材料として保管しておく必要があります。

セキュリティの観点からもメールデータの確実な保管は重要です。企業からの情報漏えいが、新聞やテレビでのニュースで頻繁に取り上げられるようになりました。情報漏えいの対策として、ITシステムのセキュリティ強化が注目されています。しかし、残念なことに、情報漏えいの多くは、情報を持っている企業内部の人が引き起こす例が多いのも事実です。こうした場合、外部からの攻撃に備えるセキュリティ対策だけでなく社員がメールを利用して外部にメール送信していないかをアーカイブに保管したメールから確認できます。

法令で定められた証憑を確実に保管

企業間で商取引する際には、領収書、契約書、見積書、注文書、納品書、送り状などさまざまな文書が交わされます。これらは、証憑と呼ばれる、適正な税務を行うため、公正な商取引を行うために欠かせない書類です。これら証憑には、法律で一定期間の保管が義務づけられています。例えば、請求書なら、法人や消費税の課税対象となる個人事業主では7年、それ以外の個人事業主は5年、保管する必要があります。以前、法人は規模に応じて5年の保管でよい場合もありました。平成16年度の法改正後に一律で7年になっており、注意する必要があります。

2015年9月に 「e-文書法(電子帳簿保存法)スキャナ保存制度」の要件が改正されて、領収書や請求書など紙の証憑を電子化して保存できるようになりました。このため、近年では、中小企業や個人事業主、フリーランサーはもとより、大企業でも証憑の多くをメールで交わすケースが増えてきました。一般的に、交わした証憑は、従来通り印刷して紙をファイリングするか、ファイルサーバーに保管します。

こうしたメールを介した証憑のやり取りは、紙でのやり取りよりも手間いらずです。しかも、メールのやり取りはしっかり履歴が残るため、何かあったときにも証拠が残る安心感もあります。ただしその一方で、唯一手作業として残る保管作業を忘れがちになります。電子データでの証憑も、紙と同様の期間の保存が求められます。うっかり保管を忘れて、後からメールの添付ファイルを印刷しようとしても、メールサーバーやパソコンに保存されていなければ後の祭りです。メールは、一度読んで破棄してしまうものも多いため、うっかり消してしまうような事故が起こりやすいツールという側面もあります。こうしたケースに頼りになるのがメールアーカイブです。

下請法の改正による発注業務の明確化への対応策として

証憑の保管に関して、最近最も注意すべき情況になっているのがメールによる発注書のやり取りです。201812月、下請法が50年ぶりに改正され、下請事業者への口頭での発注が禁止されました。それまでは、電話などで口頭発注し、条件があいまいなまま取引が進んで、最終的に下請事業者が不利益を被るケースが多く、それを是正することを狙いとした改正です。ただし、発注業務を簡素化するため、メールを利用した発注も認められています。メールに商品の単価や納期、支払い条件などを明記して、発注者から受注者にメール(3条書面と呼ばれています)を送り、受注者が受諾したことをメールで返信すれば正式な発注が成立したとみなされます。

ところが、多くの発注者は、長年口頭による発注の習慣が身についているため、メールによる受発注をしたとしても、その確実な保管まで気が回っていないのが現状のようです。メールに記録されているのだから、当然データが保管されているだろうと安心しきっている傾向があります。後から、発注メールがなくなったという事態にならないようにメールアーカイブを活用しておけば安心です。

コールセンターや営業活動の品質向上に向けた教材を保管

保管しているメールデータを業務の品質改善に活用することもできます。顧客に応対するチャネルとして、メールは当たり前のように活用されるようになりました。クレームへの対応は、企業の信頼に直結するため、応対の品質向上は重要な経営課題だと言えます。メールによる顧客応対は、電話よりもテンプレート化しやすいため、安定した品質での対応が可能です。以前は、電話での対応が中心だったコールセンターも、今ではメール利用が多くなっています。また、やり取りのすべてが可視化され、記録が残るメディアですから、履歴を蓄積し、分析することによって、顧客応対の品質を高めるために活用できます。

応対の履歴を有効活用するためには、メールデータを確実に保管しておくことはもとより、検索や取り出しやすい状態にしておく必要があります。メールアーカイブを有効に活用すれば、過去に効果を上げた応対例、また上手な応対ができる人のメール文例などもサンプルとして取り出せます。こうしたメールでの応対の品質向上は、コールセンターだけではなく営業の部署でも効果を発揮することでしょう。

メールは、取引先や社内メンバー間との情報のやり取りに日常的に活用するコミュニケーションツールです。そして、ビジネスの価値向上や業務効率の向上につながる情報が潜む宝の山です。こうした価値ある情報は、確実に保管し、有効したいものです。

- 第5回「使えるアーカイブサービスに求められる条件とは?」へ続く-

【連載企画バックナンバー】
第1回 無くしたデータは戻らない、ITシステム視点で考える事業継続とは?
第2回 企業活動をつぶさに映すメールデータ、どこに保管すべきか?
第3回 一言で事業継続と言っても、その視点と対応は多様だ

【関連コラム記事】
手間もコストもかけずに効率UP ! これからのメールデータの保管&管理はクラウドが主流に

2019.01.30
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