個人情報は守る時代から売る時代へ!「情報銀行」解禁

2015年度に実施された個人情報保護法改正以来、個人情報を預ける「情報銀行」の動きが活発化しています。情報銀行とは、本人同意のもとで行動履歴や購買履歴などを含めたパーソナルデータを安全に収集、管理、提供するものです。

2017年には富士通、イオンフィナンシャルグループ、オリコムなどが実証実験を展開し、翌年は日立製作所やJTB、日本郵便、三井住友銀行など6グループの実証実験がスタートしました。

総務省は201812月から認定申請の受付を開始。20193月頃に認定することを明らかにしました。すでに富士通、日立製作所、三菱UFJ信託銀行、電通などが参入の意思を表明しています。

参入した企業は個人や事業者から個人情報を預かり、管理・保管・運用・販売を行います。ポイントとなるのは個人情報が運用・販売されるということです。情報銀行は個人情報を求める企業に対し、適切な価格で販売します。当然、企業の信頼性やデータを求める妥当性なども審査します。

情報銀行の定義

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出典:内閣官房IT総合戦略室「AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ中間とりまとめの概要」(平成29年3月) 
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/data_ryutsuseibi/dai2/siryou1.pdf

個人の意思で情報提供が可能

提供するデータは提供者側がコントロールします。データの種類・内容、匿名化の有無、提供先企業の選定など、自分の意思で決定することが可能です。

情報提供側には、情報銀行に預けた個人情報が企業に販売されると報酬を得られるというメリットがあります。金銭、ポイント、その他割引サービスなどで還元されます。氏名、性別、住所、生年月日の基本4情報のほか、趣味嗜好や遺伝子情報も提供が可能です。

希少性の高い情報を提供することで、個別化されたサービスを得られることができます。例えば、情報銀行が健康情報を医療法人に提供した場合、情報を入手した医療機関は、情報提供者に対して食生活のアドバイスを送ることなどが挙げられます。 

企業のサービス向上につながる

一方、情報銀行から個人情報を得る企業側にとっては、マーケティングアクションにつながることが利点です。企業にとってみれば、詳細なパーソナルデータは貴重な営業資料となりますが、これまで情報を得ることは容易ではありませんでした。情報銀行が確立されることにより、情報提供者の同意を得た詳細なパーソナルデータを手に入れることができます。これにより、ターゲットニーズに一層マッチした自社サービスの展開が可能となります。

“21世紀の原油”をどう扱うか

個人情報を含むビッグデータは「21世紀の原油」と呼ばれています。アメリカでは、GoogleFacebookAmazonといった巨大プラットフォーマーがそれらを基に成長を遂げました。日本で開始される情報銀行は、今まで不透明だった個人情報の流通を健全に促進することが目的です。

課題として挙げられるのは、プライバシー侵害拡大の不安です。個人情報漏えいが多発している昨今、情報銀行事業に参入企業や情報銀行から情報を得る企業は、データ利用の安全性を確保したセキュリティ対策が求められます。

また、通常の銀行は預金額が目に見えるのに対し、情報銀行に預ける情報は「何に使われているのか分からない」という懸念材料もあります。提供する情報を自分自身でコントロールする仕組みとはいえ、約束通りに運用されているのかを確かめる術がありません。つまり、情報銀行事業を運営する企業には、高い社会的信頼が要求されます。

情報銀行事業者の審査・認定は日本最大のIT団体「一般社団法人日本IT団体連盟」が行います。審査料は170万円から、認定料は150万円で、認定された事業者は認定証が交付されます。消費者関係団体と連携し、情報銀行サービスがスタートする20193月頃には認定事業者への苦情窓口も設置する予定です。

すでに情報銀行事業への参入を表明している三菱UFJ信託銀行は、情報銀行アプリ「DPRIME(ディープライム・仮称)」のβ版を試行。一般ユーザーへのリリースに向けて現在、協力会社10社、計1,000人が実験に参加しています。

着々と進む情報銀行。信頼の置ける業者が個人情報を安全に活用し、社会的サービスが向上するのは良いことです。しかし、情報銀行事業者、情報提供者、情報銀行利用企業間の溝はまだまだ存在します。情報提供者が安心して個人情報を預けられる時代になるのか、今後の動向に注目です。

2018.12.11
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